一経営者である歯科医院長は、集客・求人・スタッフ教育といったさまざまな課題と、孤独に向き合わなければなりません。特に、「集客」と「求人」は歯科医院長の悩みのたね上位二つといえます。
この二つの課題は、一見別々に解決しないといけないように感じますが、実はそうではありません。
歯科医院のマーケティング戦略を根本から見直し、しっかり見直すポイントをつかめれば、両方同時に解決できるケースが非常に多いのです。
今回は、地域NO.1を目指す歯科医院長にぜひ確認していただきたい、歯科医院のマーケティング戦略についてみていきましょう。
歯科医院のマーケティング戦略とは
「歯科医院に必要なマーケティング戦略」といっても、ピンとこない方も多いかもしれません。もしかすると、マーケティングに詳しい歯科医院長は、ホームページやSEO・広告や看板を思い浮かべたのではないでしょうか。
答えとしていうと、これらは「戦略」ではありません。ホームページや広告は「戦術」のひとつに過ぎません。
ホームページや広告は、戦略を成功させるための道具のひとつであり、マーケティングの方向性を決めるものではありません。
マーケティング戦略は、ホームページや広告を「どのように利用するか」を決める方針のことを指します。
「増やしたい診療」「欲しい人材」に狙いを定めて、「見込み患者」「採用候補者」を最大限効率的かつ費用対効果良く集めるための方針を決め、「ホームページ」や「広告」といった戦術に落とし込む必要があります。
このマーケティング戦略をどれだけ精密に決めることができるかどうかに「歯科医院が欲しい患者の集客」「欲しい人材の獲得」の明暗がかかっています。
いくら見栄えの良いホームページを持っていたり、多額の広告費を集客・求人に割いても、この戦略部分が上手くいっていないと欲しい患者・人材の獲得にはつながりません。
「せっかくホームページを作ったのに、欲しい患者が集まらない」「欲しい人材からの応募がない」
という歯科医院の方にも、ぜひマーケティング戦略部分を見直していただきたいところです。
あなたの歯科医院にとって最適のマーケティング戦略を立てることが、集客・求人ともに成功させるためのカギとなります。
多くの歯科医院がマーケティングを完結できていないという事実
マーケティング戦略が集客・求人ともに重要であることをお分かりいただけたかと思います。では、具体的にどのように歯科医院のマーケティング戦略を組み立てていけば良いのでしょうか。
成功するマーケティング戦略を作るためには、「相手(見込み患者や求人応募者)の状況を把握し、相手へのアプローチを考える」ことが大変重要です。
見込み患者の考えていることや悩みをあぶり出し、「相手が歯科医院に対して何を求めているか」「どんな歯科医院を選びたいと思っているか」をしっかり押さえることができたら勝ったも同然です。
まずは相手を精密に分析し、ホームページや広告といった戦術に落とし込んでいきます。
注意点として、見込み患者や求職者が求めている条件を、そのまま歯科医院の条件として採用するということではありません。相手の求めている条件の中から、自歯科医院と合致する条件を引き出し、その部分を最大限アピールすることが重要なのです。
それこそが「あなたの歯科医院に合致するマーケティング戦略」に直結します。
少し話が難しくなってしまいましたが、まとめると以下のようになります。
- 欲しい患者や求職者の求める条件を把握する
- 条件の中から自歯科医院に合致する条件を出し最大限アピール
実際、マーケティング戦略をしっかり立て、HPや広告に落とし込めている歯科医院は非常に少ないです。多くの場合、相手の求めている条件ではなく、歯科医院で行っている治療をホームページに記載しているだけ・広告を掲載しているだけという場合がほとんどです。
それでは、最大限の集客・求人採用効果を得ることができないだけでなく、無駄な出費を多くしてしまいます。「多少の無駄な出費はしょうがない」「地域内で中堅の売り上げで良い」といった余裕のある歯科医院であれば、それでも良いでしょう。
しかし、地域NO.1の歯科医院になるためには、「相手の考えを読んだ」マーケティング戦略が不可欠なのです。では、実際どのようにマーケティング戦略を考えていけば良いのでしょうか?具体的に例を通して確認していきましょう。
マーケティング戦略準備1:相手の状況を把握しよう
例えばマウスピース矯正の患者を増やしたいと考えている場合、「マウスピース矯正治療を受けたい見込患者」の年齢・性別・仕事・収入を考えてみましょう。
この場合、見込み患者は以下のような条件と考えられます。(もちろん、歯科医院のある場所などによっても変わってきます。自歯科医院に来院している患者さん層からまずは考えてみましょう。まだ患者数が少ない場合は、医院のある地域や環境から考えてみましょう。)
- 年齢:20代半ば~30代
- 性別:女性がメイン
- 仕事:最寄り駅から半径5km圏内で仕事をしている
これで見込み患者のざっくりとした状況が分かりました。では、この層の患者さんをターゲットに集客する場合、何が必要になるでしょうか?
マーケティング戦略準備2:相手の考えていることを把握しよう
相手が求める条件を把握するために、相手の考えていることを想像してみましょう。
- 最近興味のあること:婚活や来年予定している結婚式
- 最近調べていること:婚活パーティー、結婚式のための準備(式場、エステ、ウェディングドレス)
- 最近の悩み:良い結婚相手がみつからない、仕事が忙しくて結婚準備が進まない
- 歯に対する悩み:前歯の歯並びが気になる
- 歯科医院に対する希望:できるだけ少ない時間・通院回数で通いたい、目立たない矯正がしたい
ここまで落とし込めば、マーケティング戦略として落とし込むのはもう簡単です。
マーケティング戦略準備3:相手の求める条件を落とし込もう
今回の場合改めてみてみると、この場合見込み患者は「結婚」に興味のある女性ということが分かります。
また、仕事をしているので結婚相手の有無に関わらず、できれば職場・家から近い歯科医院で治療したいと考えているのではないでしょうか。
そのほか、「職場などで話したときも矯正器具が目立たないと良いな」「婚活パーティーや結婚式でキレイで自信のある笑顔を見せたいな」と考えていることも想像できます。
これらを踏まえて、マーケティング戦略としては以下のように落とし込みます。今回の場合、戦略は「結婚式」と「婚活」の二つのベクトルで作っていきましょう。
戦略1:ウェディング向けマウスピース矯正
- 結婚準備や仕事で忙しくても、挙式の日程に合わせて歯並び矯正を進められます
- 前歯を整えることで、結婚式本番も自信のある笑顔で挑むことができます
- 駅から徒歩5分で夜9時まで診療しているので、お仕事帰りにも通うことができます
- ホームホワイトニングを併用できるので、歯を白くしながら歯並びを治せます
戦略2:婚活で勝利するための歯並び矯正・・・輝く笑顔で勝負!
- 第一印象を決める口元。特に前歯は笑顔の印象にも重要です
- 職場で話しても目立たないマウスピース矯正は、婚活中の方には最適の治療方法です
- 20代・30代の大人の女性に選ばれるマウスピース矯正治療
- 駅から徒歩5分で夜9時まで診療しているので、お仕事帰りにも通うことができます
- ホームホワイトニングを併用できるので、歯を白くしながら歯並びを治せます
「駅から徒歩5分」「夜9時まで診療」といった歯科医院の条件や、「目立たない矯正」「ホームホワイトニングも併用可能」といった治療条件を、相手の欲しい条件に合わせて言い換えただけに過ぎません。
しかし、「挙式準備をする人」「婚活をする人」にとって、魅力的な条件に変わりました。このようにポイントを押さえることで、凡庸な条件が「私に合った」条件に早変わりします。
見込み患者が欲している条件に当てはめることで、効果を5倍・10倍とアップすることがマーケティング戦略の根本です。
地域NO.1歯科医院のマーケティング戦略はクローズも重要
さて、ここまでマウスピース矯正を例に、相手の欲している条件を考えることの重要性についてみてきました。ここまでマーケティング戦略を立てたら、続いてこれらをHPに落とし込んでいきます。
突然ですが、ここで質問です。
あなたの歯科医院のHPのマウスピース矯正治療のページを見て、「この歯科医院でぜひ治療を受けたい!」と思ったとき、そのページだけをみて見込み患者は予約の電話をするでしょうか?
答えは「ノー」です。
見込患者は、「歯科医院はどこにあるのか」「どんな先生・スタッフが口の中を診るのか」をHP内の複数ページをしっかりと確認したうえで、初めて電話をかけるというアクションを起こします。
だからこそ、「院長の紹介」ページや「スタッフ紹介」ページを充実させることもマーケティング戦略の重要な一環です。
いくら相手の欲しい条件を引き出したマウスピース矯正治療ページを作っても、「院長やスタッフがどんな人なのか分かる写真」や「歯科医院の雰囲気・イメージ」をつかめるページがなければ、問い合わせするかどうか一度考えてしまうことでしょう。
「自分にマッチした矯正治療をしているけど、誰が口の中を診るか分からないし、ほかの歯科医院のHPも見てみよう」と考えさせる隙を作ってしまうのです。
これは非常に勿体ないことです。せっかくのマーケティング戦略が、台無しになってしまいます。
見込み患者が問い合わせをすることにクローズするまでが、マーケティング戦略です。「問い合わせをためらう」すきを作らないように、しっかりとクローズしましょう。
集客・求人ともにクローズが大切
これは、求人応募に対しても全く同じことがいえます。衛生士確保のために、相手の欲している条件を戦略に落とし込み求人採用ページや求人広告を出したとします。
しかし、歯科医院のイメージをつかめる写真や動画がHP内・広告内になかったり、歯科医院長・スタッフの雰囲気が分かる情報がないとせっかくの応募を獲得する機会を減らしてしまします。
集客・求人獲得ともに、問い合わせ機会を損失するすきを作らないことも地域NO.1の歯科医院にとって大切なことを忘れないでください。集客・求人ともにマーケティング戦略のクローズまでを大切にするようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか。
歯科医院のマーケティング戦略に重要な「相手の欲している条件」への落とし込み。そして、マーケティング戦略をしっかりとクローズすること。
これがしっかりできれば、地域NO.1歯科医院になることは難しいことではありません。
また、マーケティング戦略がしっかり確立することで、無駄な費用を出さずに100%の集客・求人効果を得ることができます。マーケティング戦略がしっかりと完成したならば、あとはHP・広告といった戦術に落とし込むのみです。
あなたの歯科医院に最適のマーケティング戦略を立てることが、地域NO.1への近道ですよ。
また、歯科医院の集患力をしっかりと維持・向上するためには、集客の基本を理解しておくことが大切です。集客について詳しくはこちらの記事をご確認ください→【大定番】儲かる歯科医院に学ぶ!集客方法を徹底解剖